「ねぇナミ、これ何?」
ゴーイングメリー号の女部屋で本を読んでいたが1つの挿絵を指差した。
それはつい最近ナミがの為に買ったちょっと昔に流行った物語の本である。
海図を描いていた手を止めてナミはが示す物に視線を向け、小さく声を上げた。
「あぁ…それはね、虹よ。に・じ。」
「にじ?」
「そう、虹。」
「…にじ?」
小首を傾げて同じ言葉を反芻するがあまりにも可愛くて、ナミは迷わずその小さな体を抱きしめた。
「あーもー!ってば可愛いーvv」
まさに目の中に入れても痛くないほどの可愛がりようである。
きっちりナミの胸元にはまったが自由になっている手で必死にナミの背中を叩く。
「ナ、ナミ…苦しいよぉ〜」
「あぁごめんごめん。」
腕を緩めての体を解放すると少し乱れてしまった髪を整えるよう撫でながら、ナミは改めて虹の説明をした。
「あたしもそんなに見た事はないんだけど、ある一定の条件が揃うと見れる物なのよ。」
そう言うと側に置いてあった気象の本を取り出して、関連項目を開くと簡単に虹の発生条件について説明をした。
「…とまぁそんなカンジなんだけど。」
「…ん〜」
少し難しかったのか眉を寄せてしまったにナミは優しく微笑みながらの鼻を指で突ついた。
「早い話、雨上りに見えるってトコかしらね。」
「雨上り?」
明かに興味を持った様子のを手招きで自分の側へ来させると、その耳元に一部で伝えられている虹の伝説をこっそり教えた。
「サンジさん!!」
最近雨上りの航海ではがサンジの名前を呼ぶのが日課となっていた。
最初のうちはナミ以外のクルーもこの状況に首を捻っていたが、この船でそんなコトをいちいち気にしていたらやっていけない。
「はいは〜いv」
サンジも慣れた手つきでコンロの火を消すと、エプロンを手近の椅子に掛けいそいその待つ甲板へと出て行った。
残されたクルー達はサンジが扉を閉めると同時にそれぞれの時間を過ごす。
「…今日こそ見れると良いわね、あのコ。」
「あら?ロビンも知ってたの。虹の伝説。」
「えぇ、知ってるわ。」
サンジが用意して行った紅茶を飲みながらロビンは目を細めた。
ナミも机に置かれた自分達用のおやつであるクッキーを1枚手に取りながら、たった今二人が出て行った扉を眺める。
「カーワイイわよね、一生懸命で。」
まるで母親の様に笑うナミを見て、ロビンも同じ様な笑みを浮かべ視線を扉へ向けた。
「彼女の純粋さは…とても尊い物だと思うわ。私達にはある意味無くしてしまった物かもしれないわね。」
「ふふふっ…そう言えば、いつからあたし達は虹を見て騒がなくなったのかしら?」
何気ないナミの質問にロビンは一瞬表情を固めたが、すぐにいつもの笑顔をナミに向けた。
「…虹を見る相手がいないからかしら?」
「…今日もダメかなぁ。」
「…もうすっかり晴れたからね。」
ルフィお気に入りの船首に上るまではいかないが、そこから一生懸命視線を動かすが今日も虹は見えそうにない。
は大きな溜息をつくと力なくその場にしゃがみ込んだ。
「やっぱり海で見るのは難しいのかなぁ。」
膝を抱えて俯いてしまったの隣に腰を下ろして真上の空を眺める。
さっきまでクルー全員を翻弄していた嵐の影は何処にも見当たらない程の穏かな空である。
「どうしてちゃんは虹が見たいんだい?」
「えっとね、読んでいた本に虹の絵があってね。それがすっごく綺麗だったから…本当にそんな綺麗な物があるのか見てみたくなったの。」
「へぇ…物語の本か何かかな?」
「…当たり。サンジさんは何でも分かるんだね。」
が感心した様に顔を上げて隣のサンジを見ると、サンジは笑顔での頭を撫でた。
「そりゃちゃんの事だからね。」
ボンッと言う音が聞こえそうなほど真っ赤になったを見て自然とサンジの口元が緩む。
自分の一言に素直に反応してくれる少女が、とても愛しい…特に最近のは雨上りの騒ぎが落ちつくと同時にサンジの名前を呼びながら狭い船内を走りまわっている。
一生懸命名前を呼んで走るその姿は、サンジの心を捉えて離さない。
最初は何事かと思ったが、それがただ一緒に虹を見たいと言う願いだと知ってからは…の願いを叶えるべくサンジもすぐに彼女の元へ駆け付けるようにしていた。
だがサンジには未だに分からない点が一つだけある。それは・・・
「ねぇちゃん?」
「なぁに?」
赤くなった頬を押さえながら上目遣いで自分を見上げるを抱きしめたい衝動に刈られながらそれを必死に堪え、ずっと不思議に思っていた質問をしてみた。
「どうして俺なんかと一緒に虹が見たいんだい?」
「!?」
「別にナミさんやロビンちゃんと見てもいいと思うし、他のヤロー…は出来れば勧めたくないが別にあいつ等でも問題ないだろ?でも何で俺?」
「そっそれは…そのっ…」
まるで酸欠の魚の様に口をパクパクさせて目をクルクルさせているを見ていたら、何だかサンジは自分が凄くまずい質問をしたのだという事に気付いた。
(レディを困らせるとは…俺もまだまだ、だな。)
気付かれない様小さく溜息をついて立ちあがるとの方へそっと手を差し延べた。
「…その答えは俺と一緒に虹を見た時に教えてくれるかい?ちゃん。」
「そ、それでいいの!?」
差し出されたサンジの手を取って立ちあがると、顔をぐっと上げてはサンジの顔をじっと見つめた。
その目には何処か期待と不安が混じっている様で…サンジはその不安を取り除こうとある事を思いついた。
「モチロン、だがその代わり1つだけ約束してくれるかい?」
「約束?」
「そう…1つだけ。」
と視線を合わせるべくその場にしゃがみ込むと、繋いでいない方の手を目の前に差し出し小指を立てた。
「虹を見るのは…必ず俺と一緒、って約束してくれるかい?」
「…サンジさん」
「折角ちゃんが見たがってるんだ。初めて見る虹は是非!俺と!!」
「うん!」
満面の笑みを浮かべサンジと指切りをするの姿を、キッチンにいたクルー全員が覗いていた事をこの時の二人は知らなかった。
ナミがに教えた虹の伝説。
それは小さな島に伝わる、小さな伝説。
初めて見る虹を好きな人と一緒に見ると…その思いは通じる、と言う伝説。
それが本当かどうかは、この後の二人だけが知っている。
1週間何も更新しないなんてやだぁぁぁぁっ!と言う訳で探して来ました、校正しなくてすむ物を(笑)
実はこの話は★祝!サンジキャラクターソング発売おめでとう話★でした(笑)←加賀と一緒だね。
今までアルバムとかでキャラソングはあったんですが、初めてのシングルと言う事で・・・お祝いだぁ〜♪
今回の歌もサンジっぽくて、その上平田さんの歌い方が色っぽいんですってvvv(やっぱりそこか・・・)
歌以外に平田さんのお話も入っていてとても楽しいCDです♪
(ただトークの前後にサンジの台詞が入ってるんですが、危うく飲んでいた飲み物を吹く所でしたよ(汗)くぅっ遊ばれてるのね、私(笑))
ってな訳で初ワンピース男性ドリ(笑)
おかしな話ですね、何でメインの男性があとなんでしょ(笑)
サンジのネタはもう一つあるので、書ける時に書きましょう!
これはただ単に歌の歌詞の中に虹が出てきて、そしたらこんなの思いついたから書いただけ。
ほーら隠れていたニコ・ロビンが出てきましたよ〜(笑)←強引だなぁ・・・(苦笑)
でもコレで行くとサンジ・・・ロリコン?いやいや違うぞ!
ヒロインは痩せこけてるけどちゃんとサンジの愛情料理とチョッパーの介護で14・5歳まで復活する予定だから(笑)